矯正歯科で抜歯してから穴や隙間が埋まるまでどれくらいの期間が必要?

矯正歯科で抜歯してから穴や隙間が埋まるまでどれくらいの期間が必要?

まずは、矯正治療にて抜歯をする必要のある方、ない方についてご説明致します。

ご存じの通り、歯列治療は矯正の装置を使って歯を徐々に移動させていきます。歯を移動させ、綺麗に並べるためにはある程度のスペースを確保する必要があります。
患者様の中には歯に対して顎が小さい方、また逆に顎のサイズに対して歯が大きい方もいます。こういった場合には、抜歯を選択することで、理想的な歯並びを実現できる場合があります。
歯を抜かずに治療ができればそれにこしたことはありませんが、症例によっては抜歯が必要になる場合や、抜歯をした方が、より理想の歯並びに近づけることができるケースもあります。

矯正で抜歯後の隙間や穴がどのくらいで埋まるの?

抜歯した場所や歯の動かし方、ガタツキ具合によって、隙間が閉じるまでの期間は大きく異なります。
矯正治療で抜く対象となることの多い小臼歯部分(4、5番目の歯)は、隙間が埋まるまで大体1年〜1年半ほどかかります。

歯は1ヶ月に約1mm程度動くと言われています。しかし、歯根の長さや骨の緻密度によっても大きく異なります。
また動きには個人差があるため、動きやすい人や動きにくい人もいます。

隙間については、患者様の状態だけでなく、歯科医の診断の精度や技術でも違ってきます。
また、上下の歯の幅のバランスが合っていないような場合には、スキマが残る場合もあります。

歯根を動かすのには時間がかかる

抜歯空隙(くうげき=スキマ)を閉じるステージは大きく分けて2つに分かれます。

① でこぼこや出っ歯を治すために歯を傾けながら動かすステージ(傾斜移動:けいしゃいどう)

このステージでは、歯根の先の動きは少ないため、早いスピードで歯を動かす事ができます。ワイヤー矯正治療の最初は、速く歯が動きますが、この移動が先行しているからです。

② その後に残ったスキマを歯の根も移動させて閉じるステージ(歯体移動:したいいどう)

このステージは歯根の先が動く量が多くなります。歯ぐきの中の骨が再生されながら歯根が動くので非常に時間がかかります。同じ距離を動かすのに歯を傾ける移動の4倍くらいの時間を要します。

抜歯隙間がなかなか閉じない理由は?

抜歯隙間がなかなか閉じない理由として以下のことが考えられます。

① 根の先の移動に時間がかかる

たった1mmの空隙閉鎖でも歯の根を動かす場合は、半年以上かかる事もあるのです。
特に下の前から5番目である下顎第二小臼歯を抜歯した場合は、抜歯したあとの隙間の閉鎖に時間がかかります。
これは、「隣の第一大臼歯の根の先の移動に長期間かかる+下顎は上顎と比較して骨が硬い」からです。

② 深く咬みこんでいると動かない

歯を傾けて早く上のスキマを閉じようとするとラビッティング(上の前歯が必要以上に内側に傾いてしまうこと)が起こって前歯の嚙み合わせが深くなってしまい、移動が制限されて、よけいに時間がかかってしまうケースもあります。

③上下の歯の幅のバランスが合わない

例えば、下の歯の幅に比べて上の歯の幅が小さいと下がきれいに並んだ時に上の歯の隙間は閉じません。
こういう時は下の歯の幅をヤスリで少し削って小さくして歯列を絞る必要があります。

早期治療が重要です

このように抜歯しただけできれいに治るわけではなく、細かく歯の幅を削ったりする必要もあるわけです。
抜歯しないといけないケースを減らすために、子供の間に早期治療である程度改善しておくことが大切です。

抜歯せずに治せたのかもしれない

根本的な問題として、「小臼歯を抜歯せずに治せたのかもしれない」という可能性もあります。

「口元が出ている」、「歯がわずかにガタガタしている」を改善するために小臼歯を抜歯してワイヤー矯正を開始したが、矯正中に上下の歯列が拡大したため、結果的にスペースが余った可能性もあります。

また口元を下げるために前歯を後方に下げた結果、舌の可動域が狭くなれば、舌が元の位置を取ろうとして前歯を押して歯と歯の間にスキマができるのは、ある意味仕方ありません。

その他の理由

抜歯空隙が閉じない理由として次のような理由もあります。
歯茎のタイプによっては抜歯空隙が閉じるにつれ、間の歯茎が盛り上がっていく方もいます。
そのまま角化して歯茎が硬くなると、隙間を閉じる事を邪魔する事もあります。
ふつうは矯正治療を終了すると歯茎の腫れは治ってくるのですが、歯肉が歯を覆うくらいまで膨れてしまった場合は歯肉切除術を行う事もあります。

現在ではデジタルスキャンで精度が高い測定ができるようになったため、以前なら小臼歯を抜歯して治療していたケースでも、マウスピース矯正で奥歯を後ろに動かして、いくつかの歯の幅をヤスリで少し削ることで非抜歯で治療できる可能性が非常に高まりました。(注:親知らず等はあらかじめ抜歯が必要です)

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