金属アレルギーの方がインプラント治療を受ける場合の注意点を解説

金属アレルギーの方がインプラント治療を受ける場合の注意点を解説

インプラント治療は、失った歯を補うために金属製の人工歯根を用いる手法です。この金属がアレルギー反応を引き起こすことは少ないとされていますが、金属アレルギーを持つ方は不安に思うこともあるでしょう。

金属アレルギーの方でもインプラント治療は受けられる?

金属アレルギーを持つ方でも、インプラント治療を受けることは可能です。インプラントは、人工歯根と人工歯、それらをつなぐアバットメントの3つのパーツで構成されています。このパーツのうち、金属が使用されることがあるのは人工歯根とアバットメントです。

アバットメントにも人工歯根にも、アレルギー反応が出にくいチタン、もしくはチタン合金が使われるのが一般的です。チタンは、適合性の高さからインプラントの材料として広く用いられています。

チタンには骨と結合する性質があるので、人工歯根は基本的にチタンでできています。この金属は唾液などに触れても溶け出しにくいため、金属アレルギーのリスクを最小限に抑えることができます。

ただし、全ての方がアレルギー反応が出ないわけではありません。特に、金属アレルギーがある方は事前にパッチテストや血液検査を受けて、チタンのアレルギーの有無を確認したほうがよいでしょう。

金属アレルギーの症状

ここでは、金属アレルギーの主な症状について詳しく見ていきます。

全身の症状

金属アレルギーと聞くと、アクセサリーや時計が触れた部分の皮膚が赤くなったり痒くなったり、ただれたりすることをイメージする方が多いのではないでしょうか。

しかし、銀歯などの歯科治療による金属アレルギーによって、全身に症状が出ることもあります。じんましんや湿疹が広範囲にわたって発生することもあるのです。

口内の症状

金属アレルギーの症状が、口内に現れることもあります。通常、インプラントや入れ歯、銀歯などの金属が、直接口内の組織と接触している部分に症状が現れます。

口内炎や唇・歯肉の腫れ、慢性的な口の痛みなどが症状として挙げられるでしょう。金属との接触を避ければ改善されることが多いため、アレルギー反応が出た場合には素材の変更を検討する必要があります。

インプラント治療による症状

インプラント治療を受けた後に、金属アレルギーの症状が現れることもないとはいえません。チタンはアレルギー反応が出にくい素材ですが、チタンアレルギーの方も存在します。

また、耐久性を高めるために、チタン以外の金属が混ざっていることもあります。ごくわずかにしか含まれませんが、チタン以外の金属にアレルギー反応を示す可能性もあるでしょう。

症状としては、インプラントが埋め込まれた部分の慢性的な炎症、赤み、腫れが挙げられます。周囲の骨にも影響を及ぼし、骨吸収を引き起こすこともあります。

金属アレルギーの方がインプラント治療を受ける場合の注意点

インプラントには安全性が高いチタンが使用されるのが一般的ですが、金属アレルギーの反応を引き起こす可能性はゼロではありません。以下では、金属アレルギーのある方がインプラント治療を受けるときの注意点を解説します。

金属アレルギーの有無を確認する

最初に行うべきは、ご自身の金属アレルギーの有無を正確に確認することです。医療機関でパッチテストや血液検査を行い、どの金属に対してアレルギー反応が出るのか明確にしましょう。

特に、インプラントに用いられるチタンに対して過敏な反応が出ないかを検証することが重要です。

素材を慎重に選ぶ

インプラントの素材選びは非常に重要です。一般的に用いられるチタンは金属アレルギーを起こしにくいとされていますが、全ての人にとって完全に安全とはいえません。

金属アレルギーのリスクを回避するためには、セラミックやジルコニアなど、非金属の素材を選択することも検討する必要があるでしょう。ジルコニアは人工ダイアモンドといわれるほど非常に硬い素材なので、歯ぎしりや食いしばりの癖がなければ使用できるかもしれません。

事前にカウンセリングを受ける

治療前に詳細なカウンセリングを受け、不安な点や金属アレルギーがあることなどをしっかり相談しましょう。使用するインプラントの素材について教えてもらうことも重要です。

治療後の経過観察を怠らない

インプラント治療後も、アレルギー反応が出ていないかどうかを注意深く観察する必要があります。治療後にかゆみ、発赤、腫れなどの症状が見られた場合は、すぐに医師に相談してください。

これらの症状が現れた場合、金属アレルギーの可能性があるかもしれません。

また、インプラントは長期間使用するものです。時間の流れと共に体質が変わる可能性もあるでしょう。

定期的な検診を通じて、インプラント周囲の組織の状態をチェックしてもらいましょう。金属アレルギーの症状に限らず、問題が発生した場合には迅速に対応してもらえます。

金属アレルギーの有無に関わらず、インプラント治療後は3ヶ月に一度検診を受ける必要があるでしょう。

インプラント治療後に金属アレルギーの症状が出たときは

治療後に金属アレルギーの症状が現れた場合、迅速かつ適切に対応する必要があります。金属アレルギーの症状が現れた場合の対処法は、以下のとおりです。

症状を特定する

インプラントに使用される金属、特にチタンは一般的に適合性が高いとされていますが、稀にアレルギー反応を引き起こすことがあります。症状は個人差が大きく、軽いかゆみや発疹から、重度の炎症や腫れに至るまで様々です。

特に、口内の粘膜に異常を感じた場合や、インプラントの周囲が赤く腫れて痛みを伴う場合は、金属アレルギーの可能性が考えられます。

速やかに歯科医師に相談する

金属アレルギーの症状が現れた場合、最も重要なのは速やかに歯科医師に相談することです。治療計画の見直しや、アレルギー反応を抑えるための薬物治療が行われることもあるでしょう。

放置していても改善されることはないので、必ず医療機関に相談してください。

アレルギー検査の実施

インプラント治療後に金属アレルギーが疑われる場合は、確定診断のためにアレルギー検査を行います。特に、パッチテストは、金属アレルギーを特定するための有効な手段です。

このテストにより、患者さまがどの金属成分に反応しているのかを特定できます。今後の治療方針を決定するための重要な情報を得られるでしょう。

素材や治療法を変更する

金属アレルギーの症状がインプラントであると判断された場合、そのまま使用を続けるのは難しいでしょう。インプラントを抜去し、別の治療を検討するか素材を変更して再度インプラント治療を受けるか選択します。

歯を補う方法としては、インプラント以外に入れ歯とブリッジがあります。金属を使用せず歯を補うことも可能なので、歯科医師と相談して決定しましょう。

まとめ

インプラントで一般的に使用されるチタンは、金属アレルギーを引き起こしにくい材料として知られています。

しかし、アレルギーのリスクが全くないわけではありません。治療前にアレルギー検査を行うこと、適切な素材を選択すること、治療後の検診を怠らないことが重要です。

インプラント治療後にアレルギー症状が現れた場合には、迅速に対応する必要があります。症状を特定し、場合によっては素材や治療法の変更が必要になるかもしれません。

金属アレルギーのある方でも、アレルギー反応が出る金属を避ければインプラント治療は可能です。安心して治療を進めるために、自身の健康状態や懸念を医師としっかり共有しながら治療計画を立てましょう。

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