きちんと使うことにより感染を防ぎ、むし歯ができるのを激減させることがわかっています。ミュータンス菌は多くの場合、母子感染によって伝播することがよく知られてきました。
「感染の窓」が最初に開くのは、生後19か月から31か月といわれています。粘膜に付着できないミュータンス菌が定着するために必要な歯面の面積が、乳臼歯の萌出により劇的に増える時期にあたるためです。
この感染を防ぐには、感染源である母親のお口に高濃度のクロルヘキシジンを応用することが有効とされています。ただし日本では、母子感染を予防するために口腔内に高濃度クロルヘキシジンを用いることはできません。
そのため日本における日常臨床での母子感染対策は、子どもと同じスプーンを使わない、母親の唾液の接触を避けるなど、生活習慣に対する指導くらいしか現実にはできないのです。しかも実際子どもを育ててみると、こういったことは大変難しいと思われます。
ユリビエスカでの研究(1982年から行われ、現在も継続してデータを採取中)では、母親へのキシリトール摂取が母子感染の予防に有効であると報告されています。くり返し強調しますが、母親がキシリトールを摂取することが、子どもへのミュータンス菌感染を防のです。子ども(乳児)がキシリトールを摂取するのではありません。
この報告によれば、出産3か月後から2年まで、1日2~3回キシリトールガムを摂取していたミュータンスレベルの高い母親の子どもは、2年で3回のフッ素バーニッシュやクロルヘキシジンバーニッシュ処置を受けたミュータンスレベルの高い母親の子どもと比較して、2歳児時点での母子感染の割合が大変低いとされています。
なお、それぞれのグループの感染率は、キシリトールでは、9.8%、クロルヘキシジンでは28.6%、フッ化物バニッシャー群では、48.5%となっています。キシリトール製品の上手な選び方や食べ方などくわしく知りたい方は、けやき通り歯科・矯正歯科スタッフにご相談ください。自分にとって続けやすい方法を選ばれるといいでしょう。