現代人は噛む回数が少なくなってきています。
噛んで飲み込むことを咀嚼(そしゃく)と言いますが、咀嚼は、食べ物の栄養やエネルギーを体内に効率良く摂り入れるために、口に入れた食べ物を細かく噛み砕くという重要な役割をしています。
神奈川歯科大学の斉藤 滋先生の発表によると、弥生時代、鎌倉時代、江戸時代、戦前現代の1回の食事における咀嚼回数と時間の関係は、以下のようだそうです。
弥生時代 1回の食事時間51分 咀嚼回数3990回
鎌倉時代 1回の食事時間29分 咀嚼回数2654回
江戸時代 1回の食事時間22分 咀嚼回数1465回
戦前 1回の食事時間22分 咀嚼回数1420回
現代 1回の食事時間11分 咀嚼回数 620回
現代人は、いかに噛んでいないかということがよく分かりますね。
昔からご飯一口に付き30回は噛みましょうといわれていたものです。
良く噛むということには以下の効果があると言われています。
① 肥満を防ぐ・・・良く噛む事で脳の満腹中枢が刺激されると満腹感を感じ、食べ過ぎを防ぐ効果がある。
② 味覚が発達・・・子供のうちに良く噛む習慣を付けることによって、食べ物本来美味しさを感じ、味覚を養う効果がある。
③ 言葉がハッキリ・・良く噛む事によって、口の周囲の筋肉が鍛えられ、表情が豊かになり、咬み合わせにも良い影響がある。
④脳を活性化・・・よく噛む事により、顎の筋肉がポンプの役割をして、脳にたくさんの血液を送り脳が活性化する。
⑤むし歯を防ぐ・・・よく噛む事ににより唾液が分泌され、口腔内を洗浄したり、細菌を洗い流す作用があります。
⑥ガンを防ぐ・・・唾液に含まれる成分には、発ガン性物質を抑える働きを持つものもあります。
⑦胃腸の働きを促進・・・よく噛むと食べ物が消化されやすい状態になり、胃腸の負担を軽減してくれます。
⑧全身の体力向上・・・「歯を食いしばる」ことで全身に力がみなぎり、普段以上の力を出すことができます。
以上のように「噛む」ということは普段はあまり意識をしていませんが、さまざまな全身に対する効果があります。
何年も歯医者に行っていなかったり、治療を途中で止めてしまったりするとツケが回って、この「しっかり噛む」ということができなくなってしまう可能性がありますので、そのような方は早めに歯医者さんに行ってしっかりと治して、その後は良い状態を維持するための定期健診を受けましょう。