虫歯や歯周病になってしまったとき、歯並びが乱れてしまったとき……ほとんどの方は、悪くなった部分を改善しようとします。
もちろんそれは間違いではありませんが、「なぜ悪くなったのか」という原因を考え、根本的に解決しなければ、また同じことの繰り返しになってしまうことも……。
当院では、「かみ合わせ」を整えることがあらゆる症状の治療に通じると考えています。
本当の健康を手に入れるためには、「痛いところだけを治す」「目に見えている部分のみを治療する」という対症療法的な発想ではなく、根本的な原因を改善するつまり原因除去療法をきっちりと行うという考え方が重要です。
まずはかみ合わせの乱れによってどんな影響があるのかをご確認ください。
乱れたかみ合わせの4つの影響
影響1:虫歯や歯周病になりやすい
食べ物が歯と歯の間にはさまったり、歯ブラシが届かない場所ができたりするため、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
影響2:消化器官に負担がかかる
食べ物がしっかりかめないため、充分に咀嚼されない状態で胃腸に入ってしまい、消化器官に負担がかかります。
影響3:顎関節症になりやすい
かみ合わせが乱れていると顎の関節に無理な力がかかってしまいます。その状態のままにしておくと、顎関節が痛んだり口を大きく開けられなくなる「顎関節症」になりやすくなります。
影響4:顔のゆがみを起こす
かみ合わせの乱れが顎の成長や顔の形に影響を与えることで、口元や顔の形がゆがむ原因になります。
顎関節症について
顎関節症は、20~30代の若い女性がかかりやすいとされる、顎関節の疾患です。
口を開ける際に痛みがあったり、カクカク(シャリシャリ)と音がしたり、大きく口を開けることができなかったりという症状があります。
そのままにしていると、顎だけでなく全身に影響が出ることもあります。
全身への影響
頭痛
原因不明の慢性的な頭痛がある場合、顎関節症が原因で頭に負担がかかっている可能性があります。
肩こり
原因不明の肩こりがある場合、顎関節の異常を補うために、肩の筋肉に負担がかかっている可能性があります。
耳の痛み
口を開けるたびに耳に痛みがある場合や、顎関節の音が聞こえるような場合は顎関節症の疑いがあります。
歯科治療において噛み合わせが最も重要な理由
なぜ私が『歯科治療において最も重要なことは噛み合わせである』とお伝えしているのか、お話させて頂きます。
噛み合わせをベースとして歯科の治療を考えていくということは、つまりは「痛い箇所だけを治す」「目に見えている部分だけを治療する」という『対症療法的な発想』とは対極にある考え方、
「全体的な治療」=『トータルで口を診る』ということです。
通常は、どこかが故障した、となるとその原因を突き止めようとします。
日本の保険制度で歯科の治療をした場合、最低限の材料・技術でということが残念ながら多いです。確かに治療は受けられますが、あくまでも国が認めた最低限の治療なので、その治療によって「金属アレルギー」を引き起こそうが、虫歯が再発し再治療が必要になろうが、歯周病が進行しようが、それは自己責任で判断してね、という実態があります。
また、ここまで医療がサービス業化してきてしまったのも、戦後はじまって以来ではないでしょうか?
そうなってくると医療の本質というものが不鮮明になり、医療までもが「お客さんを満足させるサービス業」になりつつあるように思えてなりません。
そんな状況を打破すべく、誤解を恐れずはっきり申し上げておきます。
医療は単なるサービス業ではありません。
医療を提供する私たちに、患者さんに対して優しい心で接していく気持ち、共感していく気持ち、患者さんに対して様々な配慮をするという気持ちはもちろん必要です。
しかし、それは気持ちの問題であり、治療行為という技術に対してはサービス業ではありません。
患者さんのニーズを重要視していく、ということは医療の本質とはギャップが生じたものになってしまいます。
例えば、歯医者を例にすると
「ここが虫歯になって痛いので、ここだけを治療して欲しい」
「前歯が出っ歯になってきたので、ここの部分だけ引っ込めるように治療をして欲しい」
「ここだけ歯の掃除をして欲しい」
「ここの歯だけ削って低くして欲しい」
上記のような患者さん側の要望に歯科医師は「ただ単純に、患者さんのニーズに応えていく」ということが繰り返されているのが実際の医療の現場で多く行われているのが現状です。
しかし、そこの箇所が虫歯になるには必ず理由があります。
前歯だけが出っ歯になっていくには必ず原因があります。
毎回のように同じ部分が腫れてしまう・痛みが出てしまうことには必ず原因があります。
これらの内容を患者さんに説明し、その原因を調べ、治療をしていきましょう、ということをお伝えすると、
「虫歯を治してほしくて歯医者に行ったのに、違うところを治された」
「前歯だけ引っ込めて欲しいのに、違う理由を説明された」
「全く関係ないことをされた」
というような捉え方をされる患者さんがやはり多いです。
先日、建築家の先生が患者さんとしてお越しになりました。その患者さんに私が歯の構造・顎の構造・噛みあわせのバランスをお話させて頂いた時、このようにおっしゃられました。
「ああ、建築と同じですね」
基礎が大事
構造が大事
大黒柱が大事
基礎・基本となることがどれだけ重要か、また、基礎・基本を整えない限りどれだけ上に良いものを乗せたとしてもいつかは崩れてくるということをよくご存知の先生でしたので、私の話に「まったくその通りですよ」と、スムーズにご理解くださいました。
全国にもやはり、根本的な原因を突き止め全体的に治療をしていき、本当に治してあげたいと励む先生がいらっしゃいますが、そんな先生ほど受け入れられにくい時代になってきました。
これは私たち医療という業界だけが抱えている問題ではありません。
「目に見えるところだけをとりあえず良くみせる」
しかし、いざ扉を開けてみると嘘ばかり、偽造ばかりの張りぼてだった。
ということは、この業界のみならずどこの業界でも起こっていることです。
特に歯科における根管治療は患者さんが全く見えないところですので手を抜かれていることが多いという現実があります。しっかり治療すればどうしても時間はかかってしまいます。歯科の治療において、早く・安く・綺麗にはなかなか現実的には難しいのです。
本物が通っていかない
受け入れられにくい
ということは、裏を返すと、それを受け取る人の質の低下によるものです。
それを買う人がいる限り、ニーズはありますので、売り手はせっせと売ろうとします。
欠陥住宅や、偽造建築、偽装食品や食の安全性などは、わかりやすい例で、偽造・偽装することや、安かろう悪かろう、でも「わからなければいいや」というそれを実際に関わっている人の心のモラルの問題です。
そして、それをやっている人格、美意識です。
「儲かればいい」という考え方で全てを計った時、そこには必ず「嘘」が生じます。
私は開業当時より、「根本原因は何か?」という原因除去を目的とした全体的な治療(トータルからお口の中を見ること)を行ってきました。
対症療法的な治療をすることによって患者さんが負うリスクは
- 将来的に大きな費用・時間を負担しなくてはならない状況になる
- 将来歯を失い、噛めない食べられない、という状況と向き合わなければならない
- 対症療法をすればするほど、歯を失っていく
- 痛い思いをすることがどんどん増えていく
というリスクが高くなるのです。縁あって、当院にお越しになられた患者さんに対して私は、対症療法的な治療を行うことはしたくはありません。
あなたが今そのような症状になってしまった原因は一体どこにあるのか?
そして、今後あなたが歯のことに不安を抱えず快適に生きていくためにどんな治療が必要なのか?
10年後も、しっかりと噛め、噛み合わせのバランスを整えることにより、お体全体のコンディションを整えていける、そして、より健康になっていくためのお手伝いをしたい、そのために対症療法ではなく、原因除去を目的とした全体的な治療を行っていきます。
※歯が原因である場合(=歯原性の場合)は『かみ合わせ治療』を行うことが症状が改善することがほとんですが、歯が原因でない場合(=非歯原性の場合)は当院で治療しても治らない可能性が高いです。また、骨格に問題がある場合に関しては通常の歯科治療ではなおせないことがあります。
当院で治せる可能性があるものは基本的に『骨格に大きな問題がなく、歯が原因のもの』だけです。