インビザラインには、大人については次の4種類のパッケージがあります。なお、当院(こむら小児歯科・矯正歯科)では成人矯正においてコンプリヘンシブパッケージのみを採用しています(Lite・Go・類似品は使用していません)。
- コンプリヘンシブパッケージ
- モデレートパッケージ
- ライトパッケージ
- エクスプレスパッケージ
一見すると、はじめにライトパッケージで始めて様子を見てから、うまくいかなければコンプリヘンシブへ切り替えたいところですが、途中でパッケージを変更することはできません。
このため、後述のような「想定より仕上がりの精密さが足りない」というケースが生じやすくなります。
コンプリヘンシブパッケージ
お口全体の調和をめざす治療に用いるパッケージです。部位の制限がなく、ステージ数(使用するアライナーの枚数)の上限も広く、80以上を見込めます。
さらに、アライナー初回出荷日から5年以内であれば、追加アライナーを無制限に発注できるため、設計の自由度が高く、繊細な仕上がりをめざせます。
モデレートパッケージ
『モデレート パッケージ』は、26ステージ以内で治療を終える症例に対応する治療オプションです。
適応範囲:軽度から中等度の上下の顎の前後的位置の改善、叢生、空隙、垂直的不正咬合、補綴前治療、2期治療
アライナー数:片顎につき26ステージ以内
追加アライナー:アライナー初回出荷日より3年以内の追加アライナー2回が可能です。
3回目以降の追加、もしくは2年目から3年目の間のみ30,000円(税別)がかかります。
ライトパッケージ
部位の制限はありませんが、ステージ数が上限14までに限られ、最初に決めたゴールの変更はできません。
追加アライナーの発注は1年以内で1回に限定されています。
また、1年目から2年目の間は2万円+税で追加が可能ですが、2年を超えると追加できません。
エクスプレスパッケージ
ステージ数は最大7で、治療期間は1年以内です。
ローコストアライナーに対抗する製品として設定されているパッケージです。
インビザラインの種類によって対応できる設計の幅が異なります。
知人から「もうすぐ終了だが満足できない」と相談されました。
当初は満足していても、ならびが整ってくるにつれて細部の違和感に気づくことがあります。
このようなケースを理想的に仕上げるには、設計上の自由度が必要です。
途中でパッケージを切り替えることはできません。
製品が異なるため乗り換え割引はなく、あらためてやり直すことになります。
ご本人に詳しく伺うと、初回相談時に「部分的な設計」か「全体の設計」かを選べたものの、費用と期間の観点から部分的な設計を選択されたとのことでした。
成人矯正では成長変化が期待できないため、奥歯まわりの再配置は慎重な設計が必要です。
部分的な設計の選択自体が誤りということではありませんが、期間や費用のみで選ぶと、後から細部が気になりやすいという現実的な課題はあります。
そして、もし途中で奥歯の再設計が必要になっても、乗り換え割引はありません。
患者さまのご不満につながり、歯科医師側も板挟みになってしまいます。
パッケージにより設計できる幅が異なります。
必要な調整領域が多いのに、廉価版を選ぶと、理想の仕上がりから外れてしまうことがあります。
細部まで美しく、長期視点で安定をめざすなら、最初からインビザライン・コンプリヘンシブパッケージで全体のバランスを見据えた設計をおすすめします。

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