インプラント周囲炎のすべて(後編)

インプラント周囲炎のすべて(後編)

抜歯した歯の機能を回復する手段として、見た目や咬み心地のよさからメリットの多いと言われているインプラント。

インプラントでも歯周病と似たトラブル「インプラント周囲炎」が起こるということと、その原因についてお伝えしました。

後編では、インプラント周囲炎の症状と治療法についてくわしくお伝えします

 

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の症状

 

  • 歯ぐきの腫れ
  • 出血
  • 口臭
  • インプラントの動揺(ぐらつき)
  • インプラントと歯ぐきの隙間が広がったり深くなったりする
  • 歯肉退縮(歯ぐきが下がること)

上記のように、インプラント周囲炎の症状は一般的な歯周病とよく似ています。

 

しかし、 歯周病は「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」と称されるほど、静かに進行する病気。インプラント周囲炎の場合は天然歯ではないだけにさらに症状に気づきにくく、約10~20倍の早さで進行します。そのため異変に気づいたときにはすでに重症化してしまっていることが多いのです。

最悪の場合は、インプラントが抜け落ちてしまったり、取り除かなければ他の歯に影響を及ぼすことも考えられます。

歯科医師の目、とくに歯周病専門のドクターなら早期発見が可能です。せっかく手術まで受けて埋入したインプラントですから、少しでも長く快適に使用できるよう、インプラント治療後は必ず定期的に検診を受けましょう。

 

インプラント周囲炎の治療法

インプラント周囲炎の治療

歯ぐきだけに炎症が起こっているときには「インプラント周囲粘膜炎」と呼ばれ、軽い処置で済みます。しかし、病状が進み顎の骨にまで炎症が拡大した「インプラント周囲炎」では外科的処置がとられる場合もあります。

軽度:歯磨き指導、クリーニング

炎症が軽い場合は歯磨き指導やクリーニング、投薬などで様子をみます。

軽度~中程度:切除療法

炎症がインプラントを支える顎の骨にまで達し、クリーニングや投薬でも改善しないときには歯ぐきを切り開いてインプラントを露出させ、インプラントを直接洗浄したり、レーザーを当てたり、インプラント体の表面を削ったり磨いたりします。改善する見込みのない歯周ポケットを切除する場合もあります。

中程度~重度 :再生療法

歯槽骨(しそうこつ)が吸収され、インプラントのグラつきや歯肉退縮(歯ぐきが下がること)が著しく進行すると、失われた歯ぐきや骨を再生させるため口蓋などから骨や結合組織を移植したり、人工骨や自己血のフィブリンや血小板を応用したりする再生療法がとられます。

重度:インプラントの撤去

重症化してしまった場合、最終的にはインプラントを撤去します。

インプラントはメインテナンスが重要

インプラントのメンテナンス

インプラントは正しくケアをしていけば半永久的に使えます。しかし、何度も言うように、せっかく長い期間と高額な治療費をかけ手術したインプラントも、ケアを怠れば抜歯につながるのです。インプラント周囲炎にならないために、毎日正しいブラッシングをし、歯医者で定期的なメインテナンスを受けましょう。

まとめ

人工歯根、人工歯を使用したインプラント治療でも起こる「インプラント歯周炎」について、おわかりいただけたでしょうか。第二の永久歯と呼ばれるインプラントは、治療が終了するとその咬み心地のよさや自然な見た目から、つい安心してしまうことがあるでしょう。それほど優れている治療法です。

しかし、治療が終わってからこそがスタート。患者様自身の日々のケアと注意力が、より長く、より快適にインプラントを長持ちさせます。

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