矯正中の食事による痛みについて

矯正中の食事による痛みについて

矯正中の食事についてお話します。

矯正中の痛みは、基本的に「歯が動くことで起きる痛み」です。特にワイヤを調整した直後など矯正器具をつけてからは、何もしていなくても歯が痛むこともあります。これは数日間は強く、その後は徐々に治まるのが特徴です。

しかしこの期間の食事は歯がものに触れるので、痛みが増すかもしれません。歯列矯正をすると、人によっては食欲がなくなるほど痛むようですが、何も食べないのは健康によくありません。

この痛みを軽減させるため、バランス良く栄養が取れるような食事の選び方は大切です。今回は矯正中に食べても痛みを感じにくい、おすすめの食材・メニューやその他の工夫をご紹介します。

1.矯正中でも痛くない食べ物

1-1.おかゆ
おかゆは柔らかい食べ物の代表です。水分量によって柔らかさを変えることもできるので、かみ切る必要もなく、主食の代わりになるでしょう。
ワイヤを調整した初日などは痛みが強いので、かまずに食べられるレベルのおかゆを用意するといいです。トッピングも、かまずに食べられるようなものにしましょう。

1-2.パン類
ふわふわのパンなど、柔らかい質感のパンであれば、ほとんどかむ必要がないのでより痛みなく食べることができるでしょう。また、スープなどに浸して食べる方法もおすすめです。パンの耳などの少し固い部分は取り除くか、奥歯でかめるように小さくちぎるなどの工夫をするとさらに良いでしょう。

1-3.うどん
外食で困ったら、柔らかく煮たうどんをチョイスするのがおすすめです。うどんはどこにでもあるので外食の場合でも食べられる機会が多いでしょう。自宅では自分で調理もしやすいので、うどんは覚えておくといいですね。

1-4.豆腐料理
お豆腐も柔らかいので、歯列矯正をしている時にはおすすめです。冷ややっこのようなものから麻婆豆腐まで、料理としてのバリエーションも多いので、取りあえず自宅に豆腐を常備しておけば、困ったときに助かるかもしれません。手軽に料理ができるのも良いポイントの一つです。

1-5.卵料理
ふわふわのスクランブルエッグやオムレツなどは、そしゃくが少なくても食べられる料理です。身近な食材なので、メインとしても、サイドメニューとしてでも、毎日の料理にプラスするなどすれば栄養面も補えます。

1-6.ハンバーグなどのひき肉料理
ステーキなどはかみ切る必要がありますが、ハンバーグであればひき肉なので、痛みは軽減されるかもしれません。自分で作る際は、水分量を調整して固いハンバーグにならないように気をつけてください。

1-7.魚の煮物
魚の煮物も、柔らかく煮てあれば食べられます。ホロホロと崩れるくらいに煮れば、痛みもなく食べることが出来るでしょう。特に白身魚などは繊維がほぐれやすいので矯正中にはうってつけの食材かもしれません。

1-8.ポテトサラダ
ポテトサラダならポテトを柔らかく潰している食べ物なので、そしゃくができなくても食べやすいのではないでしょうか?きゅうりなどは少し歯ごたえがあるので避けたほうがいいですが、ゆで卵などは、ポテトサラダに混ぜても問題ないでしょう。

1-9.リゾット、グラタン

リゾットやグラタンならば、クリーム状の食べ物なので負担がかかりづらく楽でしょう。一緒に入れる具材なども細かくカットする等、調理法によってさらに食べやすく、工夫ひとつで栄養も取れるようになります。

1-10.スープ、味噌汁

特に、矯正の痛みがピークに達し少しのそしゃくも辛い場合も人によってはあります。そんなときには、スープ系のメニューも考えてみると良いかもしれません。痛みのピークを過ぎればまた元の食事に戻しましょう。

1-11.デザート類
バナナなどの柔らかい果物や、ゼリーやヨーグルトなら、強くかむ力を使わないことでしょう。日持ちするフルーツの缶詰や、ゼリーなどを常備しておくと、いざという時に助かります。日頃からヨーグルトや柔らかい果物を朝食のメニューに追加してもいいかもしれません。ただし食べ過ぎは虫歯の原因になるので注意です。

2.矯正中は控えるべき食べ物

2-1.お煎餅
矯正中、口内が痛い時には食欲がなくなったり、できるだけ柔らかい食べ物を食べようという意識が高くなりますが、少し痛みが和らぐと今まで通り、気にかけずに食事をしてしまいます。
そんな時に問題になりやすいのが、固いお煎餅。確かにあごを鍛えるのには役立ちますが、矯正中は控えるようにしてください。
そしゃく時に負荷のかかる食べ物は、その勢いで矯正の装置がゆがむなどの問題が起こる可能性もあります。

2-2.丸かじりする食べ物
矯正中は歯で引っ張ったり、前歯で噛み切ったり、丸かじりしたりするような食べ方をするものは禁物です。前歯でかみ切るようにして食べるリンゴの丸かじりやハンバーガー、サンドイッチも、前歯でかみ切る際に強い力がかかる可能性があるため注意して食べるようにしましょう。このような食べ方をすると、装置を壊してしまうこともあります。

2-3.キャラメルなどのお菓子
矯正装置にくっつく、粘着質な食べ物は食べるのを避けましょう。装置についたら剝がせばいいと思うかもしれませんが、歯ブラシなどで簡単に取れない場合は、知らず知らずのうちに力が入ります。キャラメルやガムなどのような粘りのある食べ物は器具の故障や虫歯の原因などにも繋がるのでなるべく食べないようにしましょう。

2-4.ゴマなどの細かい食べ物
複雑な矯正器具についてしまうと、取り除くのが難しくなります。うがいしても取れないゴマなどは、特に注意が必要です。きちんと取り除かれないと、そこから虫歯や歯周病の菌が繁殖する可能性もあります。口臭などの原因にもなりますので、なるべく食べないようにしたほうがいいでしょう。

2-5.着色性の高い食べ物

矯正中の痛みとは関係ありませんが、装置にプラスチックなどの樹脂や透明なゴムがある場合には、食べ物によって着色してしまうケースもあります。マウスピースは食事中取り外せるので問題ありませんが、付けたまま着色性の高い飲み物を飲むのは避けましょう。
着色性の高い食事としてはカレーやキムチ、着色料の含まれたもの、着色性の高い飲み物としてはコーヒー、紅茶、赤ワインなどがあげられます。

2-6.装置に挟まりやすいもの

矯正中はブラケットと歯の間に隙間ができるので、どうしても装置に挟まりやすく、食べるのが不快に感じるものもあります。具体的には細い麺類や、肉や野菜で細い繊維質の多いもの、伸びるチーズのようなものなどが上げられます。装置を壊す心配はありませんが、人によっては気持ち悪く感じるかもしれません。

3.メニュー以外の工夫

3-1.矯正中の食べ方のコツ

食べ方のコツを掴んでくると、装置を壊してしまう不安や、食事中の不快感も大きく軽減され、矯正中の食生活も苦にならないものです。ポイントは、ゆっくりと少しずつ食べることです。あらかじめ一口サイズに小さく切ったり、柔らかいメニューであっても、口いっぱいに頬張って食べるようなことは避けて少量ずつ噛んで飲み込むことで、矯正中であっても様々な食事を楽しめます。

また、なるべく奥歯付近で噛むようにすれば、前歯付近の矯正器具の汚れも付きにくくなるでしょう。

3-2.矯正治療と口内炎

矯正治療には、口内炎はつきものです。近年では、装置が薄型になり、口内の違和感を軽減できるようになっていますが、やはり、どこかに口内炎ができてしまうものです。
口内炎ができると食事もしにくくなります。粘膜の働きを助けてくれるビタミンBやCのサプリメントを摂ることや、矯正用ワックスやプレイスガードを所持し、口内炎ができやすい箇所にはワックスをつけ痛みを和らげるのも一つの手でしょう。

また、口内炎ができてしまったら、市販の口内炎治療薬を使うのもオススメします。口内炎を速やかに治すために用意しておくと良いかもしれません。

3-3.痛み止めを持ち歩く

矯正をしていると食事以外の場面でも痛みがでる可能性があります。そんなときも痛み止めを持ち歩いておけば安心ですよね。歯医者さんで処方されたものならもちろんそれを飲めば良いのですが、市販でも歯の痛みに対応している薬はあります。
例えば、歯医者さんで処方されているロキソニンと同じ成分の薬も市販されています。もしどれにしようか迷った場合には薬局の薬剤師さんに相談してみてください。
また、一般的にロキソニンなどの痛み止めは飲んで効き始めるまでに15分~60分ほどかかります。痛みを感じてからでは効果を発揮するのに時間がかかるので、なるべく早めに飲んでおくことが大切です。

3-4.手鏡やようじを持ち歩く

ワイヤー矯正など歯の表面に装置が付いている場合、食事をすると必ずといっていいほど細かい食べかすが引っかかってしまいます。
化粧室に行ってサッとチェックできるように手鏡とようじは持っておくと良いでしょう。食べ物が詰まっている、引っかかっていることによる不快感もこれで解決できます。

4.まとめ

矯正中の食事では、いかにも痛みや違和感などネガティブなイメージがあると思います。その結果、矯正治療を続けたくなくなってしまうのです

しかし、食べ方に気をつければほとんどのものは食べることができる上、前向きに捉えれば、自分の食生活のバリエーションを大きく広げ、見直す良い機会にもなり得るはずです。

もちろん慣れない間は、食べ物を制限されることや装置に食べ物がひっかかることはストレスかもしれませんが、そのおかげで普段よりも丁寧に歯を磨いているかもしれません。虫歯になっていないか毎日気をつけてチェックすることはメリットといえます。

痛みは嫌なものですが、矯正中の食事でも前向きに付き合うようにしてください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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